軽貨物の請求書の書き方と無料テンプレート(インボイス対応・Excel)
軽貨物ドライバーや軽貨物運送会社が荷主に出す請求書は、インボイス制度が始まってから「書くべき項目」が決まっています。この記事では、必要な6項目、高速代などの立替金の書き方、消費税の端数処理を、軽貨物の実務に合わせて説明します。税率ごとの集計が自動で出る請求書テンプレート(Excel)も無料で配布します。
軽貨物の請求書テンプレート(Excel・無料)
適格請求書の6項目に対応。明細を入れると、10%・8%・対象外の税率ごとの小計と消費税、請求金額が自動で計算されます。登録不要でそのままダウンロードできます。
Excel 2010以降、Googleスプレッドシート、Numbersで開けます。記入例が3行入っているので、消して使ってください。軽貨物の請求書に必ず書く6項目(インボイス)
荷主が仕入税額控除を受けるためには、あなたが出す請求書が「適格請求書(インボイス)」の要件を満たしている必要があります。国税庁が定める記載事項は次の6つです。テンプレートのどこに書くかも一緒に示します。
| 記載事項 | 軽貨物での書き方 | テンプレートの場所 |
|---|---|---|
| ① 発行者の氏名または名称と登録番号 | 屋号や会社名と、Tから始まる13桁の登録番号 | 右上「発行者」「登録番号」 |
| ② 取引年月日 | 配送した日。月極の定期便は「8/1〜8/31」のように期間で書いてもよい | 明細の「取引日」 |
| ③ 取引内容 | 荷主名、コース名、便名、件数など。軽減税率の品目があれば分かるように印を付ける | 明細の「内容」 |
| ④ 税率ごとに区分した対価の額と適用税率 | 10%対象の合計と8%対象の合計を分けて書く。軽貨物の運賃はほぼ全部10% | 「10%対象 小計」「8%対象 小計」 |
| ⑤ 税率ごとに区分した消費税額 | 10%分の消費税と8%分の消費税を分けて書く | 「消費税(10%)」「消費税(8%)」 |
| ⑥ 交付を受ける事業者の氏名または名称 | 荷主の正式名称。「上様」は不可 | 左上の宛名 |
根拠: 国税庁「インボイス制度について」および「適格請求書の記載事項(Q&A)」。書式に決まりはなく、手書きでもExcelでも、6項目がそろっていれば適格請求書になります。
軽貨物ならではの書き方のコツ
単価の種類ごとに明細を分ける
軽貨物の報酬は「日当(1日いくら)」「個建て(1個いくら)」「距離(1kmいくら)」「チャーター(1便いくら)」が混ざりがちです。1行にまとめると荷主が確認できず、差し戻しの原因になります。単価の種類ごとに行を分けて、数量×単価が見える形にします。テンプレートの明細は「数量」「単位」「単価」を分けてあるので、そのまま使えます。
高速代・駐車場代などの立替は別の行にする
運賃と立替金を合算して1行にすると、荷主側で経費の仕訳ができません。高速代、駐車場代、燃料代の実費などは運賃と別の行にして、金額と内容を明記し、領収書を添付します。
注意: 立替金を消費税の計算から外せる(税抜の運賃に上乗せせず、そのままの金額で精算する)のは、荷主宛ての領収書があるなど条件を満たす場合です。自分名義の領収書で精算する場合は課税売上として扱うのが原則です。判断に迷ったら「10%対象」として請求するか、税理士に確認してください。テンプレートでは税率の欄で「対象外」を選ぶと、消費税の計算から外れます。
消費税の端数処理は、税率ごとに1回
明細1行ごとに消費税を計算して足すと、合計が1円単位でずれて適格請求書の要件を満たしません。税率ごとの小計を出してから、その小計に対して1回だけ端数処理をします。切り捨て、切り上げ、四捨五入のどれを選ぶかは自由ですが、毎月同じ方法にします。テンプレートは切り捨て(ROUNDDOWN)で設定してあり、四捨五入に変えたい場合は数式の ROUNDDOWN を ROUND に変えるだけです。
締め日・支払期限・振込手数料を書く
「月末締め翌月末払い」のように、締め日と支払期限は請求書に明記します。振込手数料をどちらが負担するかも、備考に一言入れておくと後で揉めません。請求番号は「2026-08-001」のように年月と連番にしておくと、荷主からの問い合わせにすぐ答えられます。
登録番号がない(免税事業者)場合
インボイス発行事業者として登録していない場合は、登録番号を書けないので適格請求書にはなりません。その場合は登録番号の欄を空にして「区分記載請求書」として出します。テンプレートはそのまま使えます。
ただし、荷主はあなたへの支払い分の仕入税額控除を全額は受けられません(経過措置により2026年9月30日までは80%、その後2029年9月30日までは50%が控除可能)。荷主から登録を求められることが多いのはこのためです。登録した場合の負担を軽くする「2割特例」は、2026年9月30日の属する課税期間までの制度なので、これから登録するかどうかは税理士や所轄税務署に相談してください(国税庁「No.6498 適格請求書等保存方式」)。
テンプレートの使い方
- ダウンロードして開く。 「請求書」シートと「使い方」シートがあります。青い字の欄が入力する場所、黒い字は自動計算です。
- 発行者の情報を入れる。 屋号または会社名、住所、電話番号、登録番号(T+13桁)、振込先。1回入れれば翌月からはそのまま使えます。
- 宛名・請求日・請求番号・支払期限を入れる。
- 明細を入れる。 記入例が3行入っているので消してから、取引日、内容、数量、単位、単価(税抜)、税率(10% / 8% / 対象外)を入力します。金額は自動で出ます。
- 集計を確認する。 税率ごとの小計、消費税、税込合計が自動で計算され、上部の「ご請求金額」に反映されます。
- PDFにして送る。 Excelなら「ファイル > エクスポート > PDF」。印刷はA4縦1枚に収まる設定になっています。
毎月やることは、明細の入れ替えと請求番号・日付の更新だけです。前月のファイルをコピーして使うと早いです。
よくある間違い
- 登録番号の書き忘れ。 適格請求書として無効になり、荷主から差し戻されます。
- 宛名が「上様」や空欄。 荷主の正式名称が必要です。
- 明細ごとに消費税を計算している。 税率ごとに1回だけ端数処理をします。
- 運賃と高速代を1行にまとめている。 別の行にして領収書を添付します。
- 取引日がない。 「8月分」だけでなく、期間か日付を書きます。
- 先月のファイルをそのまま送っている。 請求番号と請求日の更新忘れが一番多いミスです。
毎月の請求書作りを自動にする方法
テンプレートで書式は整いますが、「1か月分の配送記録を集めて明細に打ち直す」作業は残ります。荷主が3社、ドライバーが5人を超えると、月末の集計だけで半日かかる会社が多いです。
配送管理アプリ Freck は、ドライバーがいつものLINEで完了報告を送ると、その記録が配送記録として自動でたまり、月末に荷主ごとの請求書とドライバーごとの支払明細をインボイス対応のPDFでそのまま出せます。事務員を置けない規模の会社でも、社長一人で回せる作りにしています。
よくある質問
宛名は「上様」でもいいですか?
適格請求書では、交付を受ける事業者の氏名または名称の記載が必要なので、「上様」ではなく荷主の正式な名称を書きます。
消費税の端数は切り捨てと四捨五入のどちらですか?
どちらでも構いませんが、1枚の請求書につき税率ごとに1回だけ端数処理をします。明細ごとに消費税を計算して合計する方法は認められていません。テンプレートは切り捨てで設定してあります。
高速代や駐車場代はどう書けばいいですか?
運賃とは別の行にして金額と内容を明記し、領収書を添付します。立替金として消費税の計算から外せるかは領収書の宛名などの条件で変わるため、迷う場合は税理士に確認してください。
Excelを持っていない場合はどうすればいいですか?
GoogleスプレッドシートやMacのNumbersでも開けます。数式はそのまま使えます。
免税事業者(登録番号がない)でも使えますか?
使えます。登録番号の欄を空にすれば区分記載請求書として使えます。相手先が仕入税額控除を全額は受けられない点は事前に合意しておくと安心です。
ドライバーへの支払明細も同じ書式でいいですか?
支払明細は請求書と向きが逆(あなたが支払う側)なので、宛名と発行者を入れ替えて使えます。ドライバーがインボイス登録している場合は、ドライバー側の登録番号を書いてもらいます。
